HOSHIKO YAMANE + MAKOTO SAKAMOTOに密着取材した「THE LIVE AND DOCTMENTARY FILM」の3日間連続上映が決定!

Tangerine Dreamのメンバーでありながら、ソロ名義Tukicoとしても活動するヴァイオリニスト・山根星子 (Hoshiko Yamane) と、ノイズサウンドアーティスト・坂本真 (MAKOTO SAKAMOTO) が出演する「THE LIVE AND DOCTMENTARY FILM」が、5月のプレミア公開を経て、6月25日(金)・26日(土)・27日(日)、それぞれ日本時間の0時より3日間連続で上映が決定。同時に日本版予告映像も公開された。 本作は、2人にとって約1年半ぶりとなるレコーディングの様子をMOLS magazineが密着取材・撮影したドキュメンタリーフィルムであり、彼らの気迫ある表情や圧倒的な演奏技術・手技など、ライブでは体感することが出来ないような超至近距離にまで攻めた観客にとって見応え十分なライブフィルムでもある。 https://youtu.be/KZOPjjx0WXg 2019年11月に開催された「Faahrenheit」アルバムリリースイベント以来、世界的なパンデミックによってロックダウンとなってしまったドイツ・ベルリン。以降、彼らは顔を合わせることもないまま、それぞれの出来る活動に集中し各々でリリースを続けた。 ヴァイオリニスト・山根星子は、イタリア出身のアーティスト・Eraldo Bernocchiとのコラボレーションアルバム「Mujo」のほか、自身が毎週欠かさず更新を続けたYouTube企画「Live Music Cinema」のセッションから制作されたサウンドトラック集「Sketches​」を発表。ソロ名義”Tukico"としては、カセットテープアルバム「Parallel Worlds」、CDアルバム「Primitive」、デジタルシングル「Apollo 21」をリリース。さらに、東京とベルリンを繋いだビジュアルと音楽のオンライン即興ライブ「Live Visual × Live Music online concert」の音源リリースなど、数多くのリリースを発表し多くのファンへ元気と癒しを届けた。 https://youtu.be/woYtdyFjspw https://youtu.be/okfzAwV5t9o ノイズサウンドアーティスト・坂本真は、ソロ名義としてシングル「VELVET PROOF」を発表。彼はロックダウン中も様々なアーティストと交流を続け、ベルリン在住のピアニスト・Rieko okuda、ギタリスト・Ryusui Tatsumiとのノイズバンド「夜光虫 - noctiluca」で、カセットテープアルバム「Prelude」とデジタル「Prelude - Digital Remaster」をリリース。また、ベルリン在住のDJ/プロデューサーでレーベル”HOLIC TRAX"主宰でもあるTomoki Tamuraとのダンスユニット「TOMATO BEAM」を始動。2021年4月には、実弟・Yutakaとのダンス・テクノ・ユニット「Sub Human Bros」としてデジタルアルバム「THE DREAM THEATER」をリリースし、ジャンルという垣根を飛び越え、唯一無二のサウンドを制作し続けた。 https://youtu.be/s_3OEclvMAI https://youtu.be/XPurECQFKlk そして2021年、再びセッションを再開した2人は、5月15日(土)西ベルリンにあるトイフェスベルク・スパイ塔にて、Teufelsberg Domecastが主催するオンラインイベント「Micro-NoiseLab 2021」でドームのナチュラルリバーブを用いたレコーディング実験を行い、それぞれの音楽が持つ特徴や関係性を再確認しながら新たなアルバム制作へ向けデベロップしていった。 誰にも真似できない彼らだけの必殺技がふんだんに盛り込まれた「THE LIVE AND DOCTMENTARY [...]

イギリスのインディペンデントカセットレーベル「INDUSTRIAL COAST」が発信するアンダーグラウンド

身の回りにあるものがどんどんアナログからデジタルへ以降されていくなか、2017年頃より再びブームになっているものが”アナログ音源”だ。 特にヨーロッパの人々は、未だに愛車のカーステレオでカセットテープをたしなみ、お洒落なカフェでは有線ではなく、店員がセレクトした聴いたことのないガレージバンドの曲がレコードプレイヤーから流れてくる。いわゆる、Apple MusicやSpotifyのようなデジタルコンテンツはあくまで”試聴用”として利用し、気に入った音源はフィジカルとしてコレクトする。 「アナログのいいところは、試聴者側が音を鳴らすまでの ”所作” にある」と、以前MAKOTO SAKAMOTOのカセットアルバム「Reflection」のレビューを書きおこした頃にも語ったことがあるが、アナログを愛する人は、音楽と向き合う本当の楽しさを知っている人が多いように思う。 イギリスに拠点を置くインディペンデントカセットレーベル「INDUSTRIAL COAST」は、コロナウイルスによる厳しい状況の中でも、毎日ユニークでクールなフィジカルリリースを実現してきた。パンデミック以降もリリースニュースは絶えず、日々SNSでのポストが絶えないアクティブな姿勢は、恐らくヨーロッパで最も活動的なレーベルだったに違いない。 今もなお、カセットテープでのリリースにこだわる理由とは。アンダーグラウンドが持つ独特の魅力とは何か。 レーベルオーナーであるSteveに話を聞いてみた。 INDUSTRIAL COASTについて教えてください。 INDUSTRIAL COASTは、2018年11月に始動しました。 普段の仕事以外で何か面白いことをしたいと思っていた頃、僕はポルトを訪れ、Saturn and The Sun (Joachim Nordwall / Henrik Rylander) とJohn Duncanによるギグに参加したんだ。Joachimは、僕が「iDEAL Recordings(Joachimのレーベル)」の大ファンであることを知っていて、親切にギグ前日のディナーに招待してくれて。ディナーが終わった後、彼は僕に「君も自身のレーベルを作ってみたらどうだ?」と提案してくれたんだ。その後、イギリスに帰ってレーベルを立ち上げるまでにそう時間は掛からなかったね。 現在イングランド北部に拠点を置くこのレーベルは、僕と共に日々進化しているよ。もともとはアンダーグラウンドに活動するアーティストを発掘し、カセットテープでのフィジカルリリースをサポートする活動をメインにしていたんだけど、レーベルが成長するにつれて、世界各地で注目されるアーティストにも声をかけるようになったんだ。参加アーティストを幅広く扱うことで、まだあまり知られていないアーティストのリリースも認知されるようになるというのが目的だったんだ。 僕のレーベルは基本的にルールは無くて、自分が好きなアーティストや音楽を取り扱っているかな。ただし、政治的主張を流布するものは取り扱わないということがこのレーベルのルールかな。これまでにかなりのノイズミュージックをリリースしましたが、その他にもテクノ、ブラックメタル、コールドウェーブ、ドローン、ダブ、ドラム、ベース等、2020年11月で2周年を迎え、ありがたいことに総リリース数は100を超えたよ。 創設から約2年で既に100リリース超! 物凄いスピードですね。生産からリリース、プロモーションはSteveが一人で行っているのですか? 夜光虫/Noctiluca, Prelude - limited edition cassette tape このレーベルは僕が一人で運営しているよ。ただし、製作や印刷は専門的なスタッフに任せてるかな。 アートワークに関してはアーティスト側で用意されたデザインをレイアウトして使用することが殆どだけど、より良い商品を作るために、依頼者と密なコミュニケーションを取りながら、小さなネットワークを介して、知人のアーティストにカセットテープのデザインやレイアウトを依頼しているんだ。うちで生産を依頼してくれたアーティストは仕上がりを見てとても喜んでくれるんだ。アーティストだけでなく、購入者が受け取ってワクワクするようなものを作ることがとても楽しいね。 僕の主な仕事は、ウェブサイト、ニュースレター、Instagramページ(僕たちの唯一の広告)を運営しながら配送管理をしているよ。幸いなことに、コロナウイルスが流行する前から自宅で作業をしているから、コンピューターの前にずっと座って音楽を聴きながら仕事をこなしつつ、レーベルにフィットするアーティストを発掘する毎日を送っているよ。 アーティストの個性やカラーに合わせてノベルティーも制作してくれるなんて、小さなレーベルだからこそ出来る心配りで素敵だなと思いました。今なおイギリスでもコロナウイルスによる厳格なロックダウンが実施される中で、INDUSTRIAL COASTのリリーススピードは緩まるどころか加速しているように感じます。世界で起きている現象について、Steveはどう考えていますか? Kisewa - Bullet Ballet 生産に関して、僕自身、自宅から外に出て角を曲がったところにある小さな郵便局にテープを郵送するために出向くくらいで、実はそれほど影響は受けていないんだ(笑)。 パンデミックによるレーベルの売上に関しては、第一波はなんとか乗り越えたんだけど、第二波では減少している。ただ、これは予測できていたことで、世界中の人々に今一番必要なことは、自身の生活や健康を第一に優先することだと思ってる。僕たちが、自分自身の心を身体の声をありのまま受け止めるころが出来たら、きっと他者に対しても、本当の意味で思いやることが出来ると思ってるんだ。この危機的状況は、僕たち人間にとって大きな気付きになったことが沢山あったような気がする。だからこそ、僕たちのレーベルを応援してくださっている人たちには心から感謝しているよ。だからINDUSTRIAL COASTは絶対に臆しない。僕は僕自身の出来ることを全うするだけだよ。 カセットテープのみの生産に拘る理由を教えてください。 The Four Plugs - [...]

MAKOTO SAKAMOTOインタビュー: 不規則な世界に求めるもの

 2021年1月2日、ドイツ・ベルリン在住のサウンドアーティスト・MAKOTO SAKAMOTOが2曲入りシングル「VELVET PROOF」をデジタルリリースした。 音そのものによって圧倒的な個性を際立たせる彼の最新作は、”未完成の美しさとダークな世界観が放つ異形のアンビエント・サウンド”という言葉が相応しい。長年に渡るプロジェクトを経て作品が世に放たれるまで、作者がどのようなプロセスでどのような想いを込めて制作していたのか、普段の私たちは知ることもない。 今回はインプロヴィゼーションアーティストとして注目される彼について、新作「VELVET PROOF」にまつわる技術や制作方法から、自身のキャリアを総括するような音楽論、普段意識していることなど、合計1万字にも及ぶロングインタビューをご紹介したいと思います。 新作「VELVET PROOF」について、表題曲の「Velvet Proof」は実験的な音像を作るために特殊な手法で制作されたと聞きましたが、その方法を聞かせてください。 https://youtu.be/s_3OEclvMAI "MAKOTO SAKAMOTO FEAT MASARA - VELVET PROOF" (1080p) Music Video by ARI MASTUOKA (MOLS magazine) この曲は、スピーカーからの出音でモニタリングしながらボーカルや周囲の音をコンデンサーマイク一本で録音し、シンセサイザーの音は有線でミキサーへ送り、それらをその場でミックスしてDATへ一発録りしています。シンセサイザーを弾くのも、ボーカルを録るのも、ミックスダウンも全部リアルタイムで録音しました。 マイクはスピーカーから真っ直ぐ音が届く場所に設置して、その正面からボーカルに歌ってもらいました。単一志向性のマイクなので、直接外周音は入って来ないでわざと軽くフィードバックする状態をつくっています。モニタースピーカーからはシンセサイザーの音とボーカルの音声が流れているので、完全にライブコンサートのレコーディング環境と同じ手法です。ボーカルが中低域から高域部分に位置するので、その他の全ての音を低域に集めてミキシングしています。なので、ボーカルより上で音が鳴ることはありません。 「Velvet Proof」は、ヘッドホンで聴いたときとスピーカーで鳴らしたとき、環境によって違った音楽に聴こえるような気がします。Makotoさんがおすすめする試聴環境、もしくはシチュエーションはありますか。 重低域がしっかりと鳴らせるヘッドホンもしくはイヤホンで聴くと、この曲の特徴でもある低域のグルーヴ感が味わえます。特にワイヤレスイヤホンBOSE SoundSportFreeで聴くことで、MASARAの身体の中に入り込み、彼女の心臓音とともに神秘的な声を楽しむ事ができます。 確かにおすすめのイヤホンで聴くと、重低域が自分の胸の位置でどくどくと脈を打つ感覚にとても興奮しました。 今回マスタリングを依頼した京都在住のエンジニア・Gen Seiichiさんとは、スピーカーから出た時にどんな鳴らし方をするかというのを、じっくりと打ち合わせして決定しました。根本的にマスタリングはどんな環境で聴いても同じように聴こえるのが定義ですが、今回は一つ一つの環境が違う場所でも機能するオリジナルな音像とマスタリングに仕上げてくれました。 BOSE製品は必要以上に中域から高域が出てこないので、マスタリングする前のミックスダウンが終わった状態で、リファレンスモニターとして聴くのに重宝しています。一般的には中域から高域が綺麗に鳴らしきれているものが”いい音”だと言われてはいますが、BOSEは良い意味で煌びやかな部分が無く、自分で音像を作ろうという思考にさせられるんです。BOSEのスピーカーでちょうどいい感じに出るくらいに高域を持ち上げた方が、そのあと他のスピーカーで聴いた時に、低音を出しすぎずちょうどいいバランスに仕上げられる気がします。 二曲目の「White Loop」はテープループを用いた手法で録音されたと聞きましたが、それはどういったものですか? 通常のカセットテープを自分で解体して、全長が5秒ほどしか録音できないテープを自作します。カセットテープは、一般的に前に録音されていた音源を消しながら上書き録音する仕組みだということはご存じかと思いますが、その消去するイレイザーへッドにアルミホイルを挟んでレコーディングすることで、オーバーレコーディングが可能になります。この方法でレコーディングすると、幾つもの音のレイヤーが重なり心地よいアンビエンスが生まれ、再生した時に同じ音がぐるぐる回り続けるという仕組みになります。 この曲もその場でピアノを即興でレコーディングし、その音源を流しながら即興でボーカルに歌ってもらいました。そして、ミックスダウンもすべてDATに直接一発録りしたものです。二曲とも、リアルタイムに演奏、ミックスダウン、レコーディングまで全て同時に行われています。 このカセットテープループの手法は、友人のサシャ(Sasha)から教えてもらいました。彼はベルリンでワークショップを開き、テープループを使ったアンビエントミュージックをYouTubeで公開しています。 https://youtu.be/CaE6sl-6idw?t=1 CREATE A BASIC TAPE LOOP FROM CASSETTE - HAND 彼のYouTuubeチャンネルを拝見しましたが、非常にポップでキャッチーなサムネイルがいくつも目に止まりました。自作テープのワークショップは、ぜひ私も体験してみたいです!では、今回”UNKNOWN”として初めて女性ボーカル・MASARAを起用したということでしたが、彼女とはどのようにしてコラボレーションに至りましたか? 彼女はベルリン芸術大学に通う若いアーティストで、エクスペリメンタルミュージックに興味があると言いました。当時LOOP HOLEというライブハウスまで僕のパフォーマンスを観にきてくれた時に、スタジオでセッションをする日取りを決め、スタジオに招き、その時に録音しました。「Velvet Proof」は、初めてセッションした時に録音されたものです。 すごい...!出会って間もなくセッションを実行したということですね。 [...]

Furozh Interview “SAY NO TO RACISM WE ARE ALL HUMAN”

Interview: ARI MATSUOKA Date of interview: 14 July, 2020 現在、ニューヨーク House, ambient, down tempo, traps… Furozh, a producer and founder of @offthescene_ in New York, who can change the music style flexibly and make it listen like a DJ mix. New York, where divisions and disparities were revealed by the Coronal Eruption. We interviewed him [...]

ノイズバンド・夜光虫がUKのインディペンデントカセットレーベル”INDUSTRIAL COAST”より1st albumをリリース

ベルリン在住の日本人アーティスト3人によるノイズバンド・夜光虫-noctiluca-の1stアルバム「Noctiluca - Prelude」が10月30日(金)にリリースされた。 今回、イギリスのノイズシーンで最も注目を集めるインディペンデントカセットレーベル「INDUSTRIAL COAST」からのフィジカルリリースされたということで、”夜光虫”というなんとも怪奇でおどろおどろしい名前が、ドイツから海を渡りコアな音楽ファンへと一斉に広まることとなった。 メンバーは、ベルリンアンダーグラウンドで活躍するピアニストRieko Okuda、サウンドアーティストMakoto Sakamoto、ギタリストRyusui Tatsumiのトリオで結成され、それぞれ実験音楽家でもある彼らは、ノイズ音楽界のディープゾーンに野盗の如く現れ、聴衆を怒号の渦で喰い尽くしてしまう程アバンギャルドな世界観を創り上げている。 https://youtu.be/3SKhF_ZnM3k 夜光虫 Noctiluca - Prelude (2020 debut) そんな全員異端児のハードコアバンド夜光虫のデビュー&リリースに伴い、今回MOLSがショートムービーを制作。激しいフィードバックに切り裂くような轟音、その場で瞬間的に生み出されるノイズ芸術を30秒間に凝縮し、90年代のVシネマもしくは日本カルト映画のような映像が出来上がった。 最後に、夜光虫の音源について一言「カセットテープを最後まで聴いてみろ」。 フィジカルはいいよ、カセットテープデッキをお持ちの人は是非。カセットテープでの購入は、INDUSTRIAL COAST及び、夜光虫のbandcampページからお問い合わせをお願いいたします。 Released by Industrial coast UK Order the Cassette Tape at INDUSTRIAL COAST offical shop https://industrialcoast.bigcartel.com... bandcamp https://industrialcoast.bandcamp.com/... "Noctiluca - Prelude" A side - 20:09 B side - 20:09 All tracks are improvised & recorded in [...]

没入する:アウクスブルクの実験音楽フェス “re:flexions sound-art festival”

ベルリンで毎年行われる実験音楽の祭典”Berlin Atonal”は、今年の開催を見送りに。私は、2019年に初めて参加したAtonalの写真を見返しながら、大きなダンスフロアで、爆音のなか思いっきり踊り明かせる日が来ることを待ちわびるしかなかった。 ”ニューノーマルな時代”と呼ばれることへの抵抗も無くなり、ベルリンでは徐々にではあるが、クラブイベントやライブパフォーマンスの開催も増え始めている。しかし、ベルリンで主流となっているFacebookページからのパブリッシュや招待は、警察の取締りが厳しく、昨今は、ダイレクトメッセージや、当日まで開催場所を公開しないアンダーグラウンドなイベント内容が目立ってきた。 やはり驚くのは、ベルリンで活動するアーティストたちのカルチャーに対する熱意と実行力である。そしてその中でも、アートの根を絶やさぬよう、今最も活発的で根強いジャンルが、エクスペリメンタル・ミュージックやサウンドインスタレーションである。 ベルリンといえばテクノの印象が強いが、テクノ・ミュージシャンがエクスペリメンタル・アーティストへと転向することは珍しくない。実験音楽へと没入するアーティストは、テクノ、パンク、メタル、ノイズ、時にクラシックと幅広く、無限の可能性を秘めた精神音楽のような気がする。 8月に入った頃、ヴァイオリニストのHoshiko Yamaneさんから、「re:flexions sound-art festival 2020」のコラボレーションアルバム「r/e」を頂いた。 re:flexions sound-art festival Official Webpage 「re:flexions sound-art festival」は、ベルリンから600km離れた街・アウクスブルクにて、2017年から毎年開催されている実験音楽の祭典で、このアルバムは、元々フェスティバルに招待されたアーティストたちによるリモートセッションで収録されたコンセプチュアル且つスペシャルな作品。今年は7月4日に開催される予定だったが、コロナウイルスによる被害拡大を懸念し、ラインナップを一部変更して開催されたそう。 参加アーティストは、Bu.d.d.A.(Sascha Stadlmeier&Chris Sigdell), Fabio Fabbri, Hoshiko Yamane, Agente Costura, Boban Ristevski, Occupied Head, Calineczka, Gintas K, Wilfried Hanrath, KOMPRIPIOTR, Lee Enfield, Waterflower,N​(​91), deepの13組。 ドイツで活動するアーティストたちに規則性はない。時とともに流れ、進化し続ける姿勢であることが、表現の幅を広げることに必要不可欠なのだ。 実験音楽というと日本では未だ馴染みの少ない音楽ジャンルではあるが、なんとなく実験音楽というジャンルが時代に追いつき始めたように感じる。現在、アルバムでの販売は終了している状態だが、bandcampで視聴可能となっているので、気になった方は是非聴いてみてほしい。 re:flexions sound-art festival Official Webpage

Dasha Rushが捉える音響空間とサウンドの関係性 – トイフェルスベルク元スパイ塔跡地

words : ARI MATSUOKA ベルリンの壁が崩壊した1989年以降、物凄い早さで急成長を遂げるこの街には、今もなお未開発の廃墟が沢山存在している。ベルリンでは新旧の建造物が共存する魅力的な街でもあるが、やはり建物自体の寿命には敵わない。私自身、移民としてベルリンで過ごした1年間のあいだにも、老朽化したアパートや建造物が惜しまれながらも取り壊されていく瞬間を何度も目の当たりにした。 最近だと、ミッテ地区にあった「タへレス」というアートハウス(スクワット)が跡形もなく無くなってしまった。ベルリンアートのシンボルだったタへレスは、2012年の閉鎖以降、建物こそ存在を残していたが、私がこの街へやってきた2019年の夏、その面影はあっという間に消えてしまった。 こうして次々と現代に均されていく中、西ベルリンの小高い山の上にあるトイフェルスベルク元スパイ塔跡地にて、ベルリンで活動するダシャ・ラッシュがレコーディング実験を行うということで現地へ向かった。 https://youtu.be/m9UZDxR8Sgo 【MOLS.tv】Sounds to scape at Teufelsberg Spy Tower photo by.DOTS Gallery Webpage 「悪魔の山」と呼ばれるトイフェルスベルクは、第二次世界大戦の爆撃で廃墟になったベルリンの瓦礫を集め、それらを積み上げてつくられた人工的な山。冷戦時代にアメリカ軍とイギリス軍が、東ドイツ、さらにはソ連の無線傍受に適しているとして、西側諸国が諜報目的でレーダーを設置した。かつては盗聴用として建設されたスパイ基地だが、ベルリンのアーティストや音楽関係者たちはその特徴的なドーム型の空間に目をつけ、新たなサウンドスペースへと変貌させたのだ。 8月16日、この日のレコーディング実験は、出演者及び関係者からのダイレクトメッセージで招待されたものだけが参加出来るというパーソナルなイベントだった。駅から会場までは徒歩で約30分、西と東が資本主義と社会主義によって分断されていた当時を思わせる、その異様なドーム型の物体を目指して山の頂上へと向かっていった。 このイベントはドッツ・ギャラリーが主催しており、不定期で建物全体を使ったサウンドパフォーマンスやインスタレーションを行なっている。 上部にあるドームは、いわば自然な放物型のリバーブチャンバーとして用いられ、何百メートルもの音響ケーブルを使用し本館1階にあるドッツ・ギャラリーの録音スペースからドームへと音楽が送られる。ドーム内へ送られた音響信号はL/Rのスピーカーで再生され、その反響音が2つのマイクで録音され1階にある録音スペースへと返されるという仕組みになっている。 光の屈折と同様、音に関しても広い空間と狭い空間では音の鳴り方が異なり、空間に存在するオブジェクトの材質などによっても変化してくる。今回着目する点は、そのオブジェクト(元スパイ塔跡地)とドームを使った反響音(リバーブ)である。ループした同じ音源にも、リバーブを加えることによって音全体の肉付きが良くなり、艶っぽい印象を与えてくれる。アンビエントやエクスペリメンタルミュージックのライブパフォーマンスを専門とするサウンドアーティストたちにとって、音響空間表現を熟知することは非常に重要なことなのだ。 写真ではわかりにくいが、大きく開いた扉の奥にはドッツ・ギャラリーの録音スペースがあり、ダシャ・ラッシュとオペラ歌手のサロミエがパフォーマンスし、観客は目の前に設置されたオリジナルスピーカーから流れる幻想的な音響空間を楽しむ。 正直かなりマニアックな実験パフォーマンスだと思ったが、観客の中にはアーティストや音楽業界で活躍する人たちの姿が多く見えた。 会場で使用される機材はほとんどが自作のもので、写真のようなカートと一体となった移動式スピーカーが左右に2台設置されていて、左側のスピーカーからは録音スペースからリアルタイムで送られる音が流れ、右側のスピーカーからはドーム内へ送られ反響して返ってきた音が流れる仕組みになっている。 Dasha Rush, photo by. MOLS magazine この日のメインアクトであったダシャは、自身のレーベル「フルパンダ・レコード」を主宰するDJ/プロデューサーであり、アーティストやダンサーと共に劇場や映画館などでインスタレーションを開くなど、より実験的で芸術的なサウンドアーティストとしても活動している。 今年はコロナウイルスの影響もあり、世界各国で音楽フェスや大きな野外イベントは軒並み中止。ベルリン市内では、未だライブハウスやクラブハウスの営業規制が厳しい状況にある中、常に音楽とその他芸術表現の融合を研究し続けるベルリンのアーティストたちの強い意志と実行力を目の当たりにした。ベルリンで活動するアーティストたちは、既にニューノーマルな時代へ突入していくこと受け入れている。寧ろ、コロナウイルスの猛威について未だ議論を交わしている人は少なく、自然環境問題や貧困国の食料不安など、更に大きなテーマについて真剣に考え訴えかけるような動きを見せているように感じる。 NASAは時々、宇宙からやってくる電波の振動を音に変換したデータを公開しており、音楽家ブライアン・イーノは天体物理学者と組んで星の内部で発生した音で宇宙オーケストラを作ろうとしている。これからの時代は、ただ流行りを追うものではなく、私たちの日々の暮らしに関係する言葉や雑音、自然音に寄り添うようなサウンドが求められるだろう。 Dasha Rush Official Webpage Instagram Alexandra Pyatkova YouTube DOTS Gallery Official Webpage Instagram

人種問題やウイルスによる国境封鎖、ニューヨークで活動する音楽プロデューサーFurozhに独占インタビュー

Interview: ARI MATSUOKA Date of interview: 14 July, 2020 アメリカ・ニューヨークは世界で最もコロナウイルスのパンデミックに苦しんでいる。誰もが2メートルの距離を保ちながら立ち話しをするニューノーマルな時代へと変容し、家族や恋人、親しい友人とも気軽に会うことが許されなくなった。そんな中、ジョージ・フロイドの殺害から始まったBLM運動は未だ活発に行われており、私たち人間は社会の断片化ではなく更なる連帯が必要な状況だといえる。 ハウス、アンビエント、ダウンテンポ、トラップ。ニューヨーク在住 @offthescene_ のプロデューサー兼創設者である Furozh は、音楽スタイルを柔軟に変更してDJミックスのように聴かせることが出来るトラックメーカーだ。 分裂と格差がコロナウイルスの噴火によって明らかにされたニューヨーク。 市の現状について困難な状況の中、彼にメールでインタビューをした。 Furozh https://www.youtube.com/watch?v=5amhIqaZSJM&list=OLAK5uy_lP1RLz2h2ILFXVo2Xx04P-eZLI6PQx9SI&index=1 Furozh Album "Set Me Free" Q1 出身地を教えてください。  ニューヨーク・バーノン出身。 Q2 ニューヨークでは最近、3ヶ月続いたコロナウイルスによるロックダウンが解除されました(6月20日のインタビュー時)。人種差別デモの最中で、ニューヨークの街の様子や住んでいる人々の様子はどうですか?また、"curfew"制度とはなんですか? 多くの住民が、人種差別の問題よりも、コロナパンデミックによる生活への不安の方が気持ちも大きかったと思う。その中で起きた人種差別デモ(以下BLM運動)に参加する人々の中には、アメリカ政府に対する不満や、情勢への不安をただ発散するためだけに暴動を起こす者も多くいた気がするな。 ニューヨークでBLM運動が起きる以前やその最中も、罪のない黒人が殺されているという事実は変わらない。そして、デモが過激化することによって、アメリカに住む黒人たちが危険にさらされているということも事実なんだ。 "curfew(カーフュー)"とは、一般市民に対して公権力の行使として例外的な場合を除き夜間の外出を禁止するという意味で、ニューヨーク各地で実行されたもの。住民の安全を確保するためのもだと政府や警察は言っていたけど、実際のところは、僕たちニューヨークで暮らす市民たちの発言や正義を探し求める行動を抑制しているようにも感じたよ。 Furozh Interview “SAY NO TO RACISM WE ARE ALL HUMAN” photo by.Furozh Q3 昼間のデモに参加している人たちと、夜間のデモに参加している人たちでは活動内容や人種に違いは見られますか?  昼間に行われるデモは家族連れや年配の方など、平和的で落ち着きがあり、それこそ”政治運動”と呼べるものだった。ただ、実際に見られている人数や参加している人数の規模は夜間の方が多くて、その大多数は若者たちによってデモが行われていたよ。人々の通勤時間や外出時間によって、年齢や人種は違っているように見えたかな。 Q4 あなたがニューヨークに住んでいて感じる差別はありますか?人種に問わず、セクシャル、宗教、世界観問いません。 勿論! Furozh Interview “SAY NO TO [...]