テーブルの前にノートとペンを広げて、窓越しに揺れる緑を見ながら文を書く時間が好きだ。今朝は外が曇っていて暗かった。まるで寒い冬に逆戻りしたみたいで、ロウソクの火も心なしかいつもより赤く見えた。
職業柄なかなか難しい部分もあるけど、最近iPhoneやPC等のデジタル機器から少しだけ距離を取る生活にしたところ、すこぶる調子が良くなった。まるで美術館のロッカーに荷物を全て預けるように。こうすることで初めて自分の為の自由な時間を手に入れる事が出来るので、本来自分が持っている想像力や表現を信じてあげるために時には必要なことでもあるように思う。
「今、私は何を感じているのか」。1秒1秒、溶けて色薄らいでいく感情を忘れないように、ことばを綴る。人は、一番向き合いたくないと思うことに自分の使命が詰まっている。また同じような痛みを経験してしまわないよう、感情ひとつひとつに目を向ける。意識のひとつひとつに目を向ける。
私は、私と離れる為ではなく、もっと、もっと近づきたい。そうすれば、きっと大切な人との心の距離ももっと近くなると信じている。
自然の声を聞いてみよう。静かなまま、木葉が揺れて、水が流れることはない。感情も同じ。心の声を聞いてみよう。