RIDEの新アルバム「This Is Not A Safe Place」が8月16日にリリースされ、更に11月、日本に来日するらしい。先行リリースとして「Future Love」がYoutubeやApple Musicで公開されているので、早速聴いてみた。
RIDEといえばシューゲイザーバンドの代表格で、My bloody ValentineやSLOWDIVE、DIIV、Wild Nothingが好きなら絶対知らない人はいないだろう。シューゲイザーは激しくもあり儚くもあり、私はRIDEを聴くと、昔の甘酸っぱい思い出や記憶が蘇ってきて結構胸が苦しくなる。記憶の中の歪みや断片を色付き写真で思い起こすこともあり、それが楽しい記憶ではなく、なんとも切なくて、正直メンタルが弱い時には引きずり込まれそうになる時があるので、聴くことを避ける期間もある。
1980年代頃、イギリスから発祥した比較的新しいジャンルで、シューゲイザーをあまり知らない人は轟音や歪みに耳を塞ぎたくなる人もいるかもしれない。「ただギターを爆音で弾いているだけだろう」と感じる人もいると思う。「轟音」だけを切り取るとしたら、私はシューゲイザーバンドの作る音楽に情緒的な歌詞は必要がないと思っているタイプでもある。一切の説明もなく、耳が裂けるほどの轟音を一度でも浴びてみてほしい。ドラッグなんてなくたって、ゆらゆら別世界へ飛んでゆけるし、脳内のパレットが爆発してこれまで見たこともない芸術作品を自ら創造することだってできる(という感覚)。シューゲイザー初心者の方はぜひ野外フェスで開放的に、中級者〜上級者の方は、隔離されたライブハウスで耳を潰す寸前まで浴びるというか、浸かるのが気持ちよくなってくるもんなのだ。
実際、詩的な歌詞も多いのが事実で、なかなか直接理解するというよりはその背景にあるものを透かして見るという感覚だから、音楽を体で感じ、本能的に入り込むことができない人にとっては非常に難しいジャンルでもある。
RIDEの話に戻して、実は1995年に一度解散しているのだが、2014年に本格的な再結成を果たし今回6枚目となるアルバムとなる。おじさんバンドの良くある「一旦解散」「一旦再結成」って、凄く夢あると思いません?そして、変わらずパワーのあるリッケンバッカーを大音量で掻き鳴らす感じ、もの凄く鳥肌ものです。
新アルバムに収録されている「Future Love」も、自分が大人になったからなのか、ようやくRIDEが持っている「苦味」「酸味」がわかったような気がして、本当に久しぶりに周りの視線も気にせずボリュームを上げた。清い部分だけでなく、様々な経験をしてきたからこそ、体にしっとりと染み込んでいく。第二の青春を今生きていると、私はそれだけ経験を積んだ大人なのだと、勝手ながら嬉しくもなった。
開始10秒で私と同じような感覚になった人、ぜひ一緒にお酒を飲んで夜明けまで語り合いたい。