documentary and culture magazine

長い靴擦れとの戦い

実は6月21日で、ベルリンへ来て1ヶ月が経過することになる。「DB遅延問題」「初日ホームでホームレス体験」のあの日が懐かしい。ここ毎日が怒涛の日々で、1ヶ月経ったからこそ振り返ることが出来るものもある。

実は渡独当日の5月20日、叔母と友人1人が早朝の関西国際空港まで送り迎えしてくれた。スーツケース1個とバックパックに生涯の荷物を詰め込んで、まさかの移動中にスーツケースのタイヤが1個欠損。そして1人で32kgもの荷物を抱えて移動しないといけないことをすっかり忘れて、空港到着後に後悔するという初日から”段取りの悪さ”を発揮。

日本出国の日、早朝早く見送りの時間に余裕はなかったため、入国ゲートの目の前で最後に交わした言葉は「じゃ!」の一言のみ(今考えたら軽すぎる笑)。

最後に叔母から「最後に抱きしめさせて」と言われたときは悲しくは無かったけれど、入国ゲートを通り、一人飛行機の到着を待つ間で、今まで頑張ってきた感情が爆発して泣いてしまった。気を張って背筋が伸びていた分、一人になった瞬間の安堵感というか緊張がほぐれた後に今までの恐怖が一気に湧き上がってきて、最後にもらったコンビニのおにぎりを食べながら静かに泣いた。

叔母はそのあと、友人と即別れ、一人空港のトイレへ消えていったらしい…。友人には申し訳ない(笑)。叔母も私も目の前では泣けない頑固なタイプだから。

この新しい革靴を履きこなせるまでの「長い靴擦れとの戦い」の時が一番辛い。土地に関しては馴染みやすいけど、まだやっぱり不便が多いし、無知である自分に落ち込むことは日常茶飯事である。プライドの高さなんてここでは無駄なものだし、今までにないくらい「勢い」で行動してる感が凄い。そりゃあ手続きや生活に必要な情報源の収集は念入りにするけれど、頭だけで考えて「不可能」を決めつけなくなった。なんだったら英語も大して話せないくせに、現地のアーティストに取材をしてみたり、怖いと思ったものでも取り敢えずぶつかっていくほどにはメンタルが鍛えられているのかもしれない。

「腹をくくる」状況にならざるをえなくなった時、いままでは予算、時間、現実とを考えた上で、それでもなお「クオリティの高いもの」を求めて動いていたけれど、今は全てにおいて新しい試みなので、先に先方には「失敗します、ごめんなさい!」と伝え、自分の外野にあるものに関してもカッコはつけずに正直に生きようと思うようになってきた。だからといって、自分にとって利益になりそうな機会の時は、結構「できます」といった後から焦ること多数。ベルリンに来て直感力が鍛えられてるな〜と感じる。

1ヶ月間だけでも、今のベルリンがとても成長期にあることがひしひしと感じ取れる。きっと、またこの1〜2年だけでもかなり状況は変化すると思っている。もしかしたら自分自身もベルリンにいないかもしれない。今全て変わってしまう前に、行っておきたいところや見ておきたい景色、沢山足を運んで行こうと思った。


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